当作品の立ち上げに際し、最初に出たテーマがこれでした。


昨年10周年を迎えた『パワードール』は、メジャーナンバーで「6」、PC98シリーズから数えると延べ15タイトルを数える、まさに工画堂スタジオの「代名詞」と呼べるビッグタイトルとなりました。
しかし同時に、世の多くのビックタイトルが抱える問題が、同じ様にPDシリーズにも生まれます。
「敷居が高すぎて、新規ユーザーが入りにくい。とっつきにくい」
「既存ユーザーにレベルを合わせると難くなりすぎる、新規ユーザーに合わせると楽になりすぎる」
作品を重ね、企画を立ち上げる度に議論の中心はこのような問題となり、その都度PDチームにおいては「尖ったものを」という選択をしてきました。
しかしその一方で「メカ・鉄の感じ」と「女性隊員・ドラマ性」の融和というスタイルは、多くのゲームユーザーを魅了する普遍的な価値を持つ題材であり、参入したいが二の足を踏んでいる多くのユーザーを目の当たりにしていたことも事実です。


そこで、『パワードール』と同じテーマから出発し、『パワードール』ではないものを作ってみてはどうか、という発案がありました。それが、今回発表する新タイトル『ブルーフロウ』のスタートです。

作品を作るということは、「積み上げる」作業と同じくらい「削ぎ落とす」作業をすることになります。
『パワードール』を例にとっても、現在の形になるまでには「捨てなければならない部分」や「捨てざるを得ない部分」というものがありました。
例えば「操作のわかりやすさ」。
事細かな操作説明や状況説明は、時として「ゲームを進行させる上で邪魔なもの」となることがあります。そこでPDにおいては『PDユーザの共通言語』を用いることで、説明を簡略化ました。そしてそれが「楽しさ」のひとつにもなりました。
例えば「ドラマ性」。
女性隊員の日常生活などを描く「ドラマ性」は、軍隊モノ、政治ものとしてのリアリティを高めるために「あえて」排除してきました。そしてそれが、プレーヤーにのみ与えられる無限の「想像領域」となりました。


「リアリティ」という表現方法の上に成り立つものがPDとするなら、そのカウンターとなる選択をしたもの、PDを遊び、PDで育ったスタッフ達が、その成長過程で獲得した感覚を世界の基準とした「肌触り」と「温度」で成り立っているもの、それが『ブルーフロウ』となるのです。
連日連夜、PDの開発者を交え、全て「壊し、考え、再構築する」という作業を続けました。
PDを母とし、糧とし、そして土台とするこの作品は、PDファンにとどまらず、全てのPCゲームファンへと向けられています。
どうぞご期待ください。



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