地球連邦の世界情勢 | ||
彼らの支配体制は完全な階級化社会である。 「奴隷」とは呼ばないまでも、生産業務のみに従事する「下層階級」、一部の頭脳や技術が特化しているために、通常の権利(娯楽、さまざな選択の自由)が認められている「中層階級」、「特権階級」ほどの優れた財力や権力は無いが、それに近い力をもつ者に認められる「上層階級」に分けられている。 |
またこれ以外で、特例的な扱いを受ける者として「職業軍人」と「傭兵」という存在がある。 「職業軍人」は、どの階級でも志願すれば認められる。しかし、潜在能力の低い者が国家の要求を満たす水準まで「改造」される場合、たいていは肉体的精神的苦痛により、自殺、あるいは狂気へ走ることが多く、その場合は闇に葬られる場合が多い。やはり特権階級に近い者ほど、その「改造」のリスクが少ない。 「傭兵」は、「傭兵ギルド:セプルクルム」で決められた「特別」な扱いとなる。 「傭兵」になるための特別な資格はなく、各惑星に設けられたギルドの窓口で登録をすればよいのだが、一度「傭兵」になると、他の職業に就くことが許されないという厳しい制約がある。また、普段の生活を送っていれば余命まで生きることができるが、傭兵になればそれなりの確率で「死ぬ」ことがある。 しかし、国家の階級支配に縛られることなく、決められた報酬料金と、そして何より“自由”が与えられることになる。よって「大きな仕事をして大金を稼ぎ、しばらく遊んで暮らす」という生活スタイルや価値観が生まれることとなった。 国家の治安状態としては、「上層〜中層階級」までは、比較的犯罪も少なく安全に暮らせる環境が整っている。それに対し「下層階級」は「はきだめ」のような状態であり、護身用の銃の携帯が一般に容認されるほど治安が不安定である。大多数(平均して惑星人口の7割)の国民が「下層階級」に属する環境で生活し、続いて「中層階級」、「上層階級」となる。居住区等、住み分けもはっきりしており、「特権階級」は特定の宇宙ステイションや「地球」に分散している。 |
地球連邦の議長と議員構成 |
地球連邦は特権階級と呼ばれる「武力」「権力」「資金」を保持する者たちによって構成された「地球連邦議員」と、これをまとめる議長によって成り立っている(現在、議員数は10人前後)。 特権階級の人々とは、かつて偉大な功績を残し富と権力を得た人々や、旧来より財閥系として名の通っていた者、その他、権力によって自らの地位を確保した者たちの集合である。 また「上層階級」と呼ばれる人々のみに、彼らのような「特権階級」になる機会が与えられ、それでも彼らの地位を手に入れるためには、他のものを容赦無く蹴落とす冷酷さ、実力、運、資金が必要とされる。 議員たちの間でも、発言権の強い議長の座を確保しようと野心を持つ者が多いため、競争は苛烈さを増す。あるものは派閥を作り、誰もが自らの保身と既得権益の保守のみの為に議会を運営しようとする。「議会」や、そこで行われる政治は、あくまで一部特権階級の為のものに他ならない。 「連邦議員」の力とは「行政」「司法」「立憲」を執行、発案、改変など、自由に行使できることである。また国軍の采配も彼らが行うものである。もちろん、個人ですべてを決めることはできず、その提案を実現させるには全議員の半数以上の賛成と、議長の同意が必要である。または、議員の8割以上の賛成だけでも可決される。 派閥同士の対立もあるが、基本的には議会全体にとって有益と思われる提案や改善は高確率で可決される。議員を支えているのが多くの企業や団体なので、必然的に国民的な政治よりも企業、国益を優先する政策が中心となる。 「議長」は、議員よりも強力な発言権を保持している。議員の同意を得ずに、前述の権力を行使することができる他、特定の議員を更迭させることもできる。 ただし、これらの議長特権には有効期限が存在する。期限は特権が行使された時点から始まり、その期限が切れた時点で議員達による不信任決議が行われる。信任が可決されれば議長職を続行されるが、不信任が可決されるとその場で議長から降任されることになる。不信任決議の開催と不信任可決に対する拒否権は議長にはない。 |
ディック惑星連合の政治機構 |
ディック惑星連合はそれぞれ惑星ごとに独立した国の集合体である。ただ、グローバルな包括的政治機構も同時に存在し、個々の惑星国家に対して強い権限を保持している。惑星単位での政治機構は様々な種類が存在するが、ディック惑星を中心とした連合政府は次のような機構で成り立っている。 三権分立が確立されている。 立法は「代表議会」、行政は「大統領」、司法は「連合裁判所」と権力を分立させ、相互に抑制と均衡が取られている。 「代表議会」とは、惑星の代表人(選出方法はその惑星の統治国家に任せている:各国家ごとに1名)である「代表議員」たちによって協議がおこなれる場所である。 「大統領」は、ディック惑星連合の選挙によって「代表議員」以外から国民投票によって選出される。任期は選挙時の投票率がによって変動する。 司法を司る「連合裁判所」は「代表議会」で選任された「裁判官」と、ディック惑星連合の一般国民から無作為に選出された「陪審員」によって構成および運営されている。 連合の代表としての「大統領」だが、「代表議会」においても強い発言権がある。「大統領」はあくまでも官僚の代表であり強い権限はそれほど保持しておらず、どちらかというと代表議会の方が目立つ存在である。しかし、大統領と代表議会の関係は良好で、現時点で大統領の行政に対して、クレームを付けた例は僅かである。 地球連邦のように、自らの利権のみを追及するものは少ないが、惑星連合だけに、さまざまな価値観を持った多くの議員が存在するのも事実であり、惑星連合としての統一の見解を持つことや政策を行うのは容易ではない。地球連邦に対する制裁や攻撃に関しては一致団結するが、ディック惑星連合内で利害が発生してしまう問題になれば、早期解決することは稀である。自由社会は確立されているが、個人と国家の利益をどう確保するかは今後の課題と言える。 |
ホライズンの世界情勢 | ||
無論、近年でも幾度かホライズンに対する侵略計画が持ち上がったが、計画を立てた者は不慮の事故や、急な病に倒れることが多く、双方の支配者たちも密かに共同体を恐れている。 実質的には共同体と傭兵ギルドが「地球」「ディック」両勢力を利用していると言う者も少なくない。 ※1:中心領域に地球連邦、それを取り囲む形でディック惑星連合の領域が存在する。形はCで、途切れた片方に共同体が存在する。 ※2:この軍事力には、傭兵ギルドの兵力が含まれている。 |
社会構造は、軍事企業、元軍人、大商人が支配階級として、この国を統括している。しかし、彼らの詳しい素性や顔など、個人情報は明らかにされることはない。秘密主義を貫くこの国では、政治さえも特定の相手から伝えられる伝達メッセージによって、運営されている。 彼らは、多くの組織にコネクションをもっており、休戦になってから出没する海賊たちに対してもある程度の圧力を掛けることができる。(海賊の活躍によって、彼らは休戦中でも仕事にあぶれることが無い) これらの支配体制の下で地球連邦、ディック惑星連合から逃れてきた人間たちが、最低限の権利だけは保障されて生活している。彼らの多くは、両勢力の物流システムの一部を担当し、外貨を稼いで生活している。人民の生活水準はディック惑星連合よりも若干下回っている程度。問題点は社会に貢献しない人材ほど、社会保障が少なくなり生活が困難になることである(税率が個人によって変動もする)。なお、傭兵家業で数十年共同体に貢献すると、高い保障が与えられるようになる。 |
傭兵ギルドの誕生 | ||
この状況下に怒りを覚えた彼らは、自らの地位を確立するために同士を募り、新しい世界を築くために旅立ったのである。 開発されていない惑星に漂流し、そこに小さいながら一つの町を作り、自分たちと同じ処遇を受ける人々を受け入れた。やがて、この町は都市へと成長。忘れられた人々は自らの復権のために、かつての仲間から多くの物資を横流してもらう。その見返りとして、彼らはまだ動ける者たちで、物資の提供者が抱える問題を解決することにした。 この流れが、やがて「傭兵」としての基盤を作り出し「傭兵ギルド」を誕生させる。彼らは戦争よって手に入れた武器、豊富な経験、有利な立場を作りだす諜報活動、そしてそれらを最大限に利用し、権力者の弱みを握ることで、着実に勢力を伸ばし続けた。そして、若く力強い兵士たちも勧誘して、組織の運営に必要な力である物資、財力、権力、人材全てを獲得してゆくのである。 |
地球連邦、ディック惑星連合はこのころから彼らを危険分子とみなし、早期にその芽を潰そうと軍事による圧力を掛けてくる。しかし、これらの情報はギルドの優れた諜報活動によりすべてギルドの知るところとなり、この計画が実行に移される頃には、完全に迎撃の準備は整っていた。 この戦いは、僅か半年で決着した。地球連邦、惑星連邦の同盟(一時的だったが)は大きな損害を被り、傭兵ギルドの力を思い知ったのである。 この後、ギルドは自らを母体としホライゾン共同体を設立。それに伴い地球連邦、ディック惑星連合の両政府に対して独立を宣言し、両勢力にこれを承認させたのである。 ギルドの戦いは実にスマートであった。当初は圧倒的に優位だった同盟軍(地球連邦軍とディック惑星連合軍)だったが、元来深い溝が存在する両陣営を分裂させるのには、数人の諜報員と事件を仕掛けるだけで十分だったのである。軍上層部、そして軍団はまもなくばらばらになり、内部抗争が始まった後に、ギルドの軍団が急襲。組織だった抵抗をさせない間に、壊滅的打撃を与えたのである。こうして領域こそ小さいながらも、傭兵ギルドとしての勢力は他と拮抗していると言える規模にまで成長したのである。 |
ホライズン共同体の政治形態 |
共同体では実力者イコール権力者という図式で、支配体制が確立されている。元々傭兵ギルドから樹立した共同体であり、強い指導者によって民を守るイメージが強い。 共同体として運用しているが、実際には、巨大資本を持つ企業が保有する領地の集合体とも言える。これら企業を統べる大企業と、これを守る軍人が「支配階級」として存在し、行政や司法、立憲を司る。 ただし、(この組織の発生起源からも容易に想像は出来るのだが)常にその存在を狙われる立場にある共同体指導者達は、表立った政治の舞台に姿をあらわすことはまったくない。それは、共同体が地球連邦、ディック惑星連合からの逃亡者を広く受け入れている実情によって、スパイや暗殺者もたやすく侵入できる事にもよる。しかし共同体の諜報機関はどこよりも優れており、指導者達の身辺の安全性が低いわけでは決してない。 「支配階級」の人々は通信を利用して議会を開催する。彼らにとっては国家=自社と共同体である他社との連携、繁栄、維持に傾倒した政策を押し進める。これに対して軍人たちは共同体防衛に必要な予算を要求するだけである。 この世界で、これら「支配階級」の地位を手に入れるためには、自分の所属する企業でトップとなり業界の大手へと成長させる必要がある。政治力よりも才能と権力、資金と運が必要であり、無能な人間は必然的に「支配階級」から排除される。 |
宇宙放浪民 |
定住地を持たず、移動型のコロニーや居住船で宇宙を放浪する人々すべてを指す。この中には、海賊などの犯罪組織も含まれている。 海賊などの犯罪組織以外の人々は世界中を旅し、その周辺で交易を行うことで生計を成り立たせている。 地方の執政官によっては、暴利をむさぼられたり、略奪を受ける場合があるため、彼らは自衛隊を保持している。その中には傭兵たちも含まれており、彼らを侮れば手痛いしっぺ返しを食らうことになる。 宇宙放浪民は地球連邦、ディック惑星連合、ホライズン共同体に属さない「その他」の勢力である。しかし、その数は決して少なくない。彼らは銀河戦争時は直接参加せず、ホライズン共同体と同じように、戦争の利益にあやかっていた。 ホライズン共同体と異なるのは、彼らは「自由」がすべてであり、縛り付けられた社会は好きではないのである。 そのため、海賊などの犯罪組織の温床となるのだが、彼らは「同属に対しては礼節を尽くせ。それを守らぬものは制裁を加える」という掟によって”思ったより”治安はいいようだ。 これに対して宇宙海賊などの犯罪組織は、国家の脅威が届かない外宇宙を縄張りとし、通りかかる交易船や、周辺の惑星へ圧力をかけて、利益を得ている。 特に、犯罪組織は全世界にネットワークを持っており、その幹部たちは傭兵ギルドと強いコネクションを持っている。また、彼らは宇宙海賊も取り仕切っており、傭兵ギルドの要請によっては、特定地域の治安を不安定にして、政府から「ショバ代」を巻き上げていることもある。 |
ディック惑星連合の世界情勢 | ||
これらの国々をまとめているのが、ディックのいた惑星(主星)である。民意を代表した政権を樹立するために、代表制を導入し資源や富の偏在を無くし、新しい世界を築くために「地球連邦」と戦い続けている。だが、長引く戦況に国民も徐々に不満の声を上げ始めている。 テクノロジー、軍備は「地球連邦」のそれと拮抗を保っている。第1次銀河戦争時は、それまで「地球連邦」に資源を吸い上げられていたため蓄えもなく、厳しい戦いを強いられた。 この後、物流基点を制圧・掌握することで徐々に資源を蓄え、第2次銀河戦争時には「地球連邦」側が物資不足に陥った。兵士の鍛錬や兵装に関しては地球連邦に一日の長があるが、豊かな物資の保有という点でのみ優位性を誇れるようになりつつある。 |