「……そっか、自分が助けに来ることは、当然……って思っててくれたのか」
「もっちろーん。だって実際、来てくれるしね」
「そうか……そうだよな。それでもいいか」
子供のように無邪気に笑うリンリンを見て、マルグリッドもまた、屈託なく笑った。
とても晴れやかな気分だった。
そんな幸せなドライブを、しばらく満喫して……。
やがてマルグリッド生来の、几帳面な顔が戻ってくる。
「ところで……この道、どこだ?」
帰り道を検索しようとして、ハタと気が付く。どうも周囲の風景に見覚えがあった。
ずっと昔にでも来た事があったか、と頭の中を探るが、心当たりが無い。
「……この道? さあ、どこだろう? 適当に走ってきたからなあ」
リンリンもあっさりと首をかしげ、左手で空中に地図を書き始める。
「リンリンの方向感覚も狂うときがあるのか。やれやれ……」
マルグリッドは一息つき、伊達眼鏡をかけなおした。
現在位置検索。たちまち二人の居場所が図示される。それは見たことのある、施設の側だった。
同時にリンリンが嬉しそうな声をあげた。
「あー、やっぱり日ごろの癖が出ちゃったんだよ、マルグぅ」
前を見たマルグリッドは、思い出す。リンリンがいなくなって良かったと感じた瞬間のことを。
そしてあの感覚は正しかったのだと理解した。
そこに見えたのは、銃を構えた沢山の兵士達と、先だって突破してきたはずの基地の門。
「……これ借りたクルマだからさ。返すためにもとの場所に戻ってきちゃってた」
「……あほかーっ!」
二人はちゃんと隊長のところに戻ることができるのか……。それを語るには、まだまだ長い物語が必要になりそうだった。
|