第4回:潜行六十五分(いや,辻さんに含みはないです)
限られた時間,多数の敵,掴みきれない情勢が立ちはだかる「キッドナップ作戦」

今回挑戦する「キッドナップ作戦」は,初代「パワードール」でも屈指の攻略難度を誇るシナリオとして知られていた。そして,ベースシステムが大きく変わった(連載第1回参照)「パワードール1」でも,難しさの種類こそ違え,極めてハードなシナリオといえる。何を隠そう今回の記事でも,きれいにクリアするまで6〜7回試行錯誤を重ねていたりする。また,事前準備もさることながら,ミッションスタート後の状況判断こそが難しかったりするので,「こうやれば確実」という方法も示せない。
そうした意味でこの記事では,基本的な作戦方針の部分を中心にお読みいただき,あとは実際にその方針で試行錯誤していただくのがよい,ということになる。方針を誤らず,かつその場その場における判断のバランスを身につければ,確実に勝てるようになるだろう。

何から何まで異色なシチュエーションだが,少人数による要人救出ミッションは,いかにも有事即応の特殊部隊らしいともいえる
乗機が敵地に不時着し,敵軍の捕虜となった作戦参謀を救出するというこのシナリオでは,特別ルールが多々課せられている。まず,救出した将校を収容するため,パワーローダーはすべて複座型のX-3AT/Wで揃える必要がある。1機だけ連れて行けばよいようにも思えるが,これは作戦の大前提なので仕方ない。次に,いきなり敵地深くに侵入するため,パワーローダーは「カーゴバード」と呼ばれる降下カプセルに搭載,それを近海に潜む潜水艦から射出して,目標近くに送り込むことになる。これにより参加機数はわずか4機に限られ,また捕虜救出後には,敵地の奥から潜水艦が待つ海岸まで,長駆脱出を試みる必要あり。もちろん,捕虜を連れて敵の監視を無事潜り抜けても,所定の時刻までに潜水艦との会同地点に到達できなければ作戦は失敗だ。敵に姿を晒してしまったら,何よりも無防備な兵器に成り下がってしまう潜水艦を使う以上,これまた仕方のないことといえる。
マフィル・ハティさんあたりまでが,精鋭中の精鋭といったところか。保持スキルの多いファン・クァンメイさんは,消費AP節約の意味では有用な選択肢

そんな次第で出撃隊員選びからだが,今回はハーディ隊長以下,単純にAP(アクションポイント)の高い順に4人とした。ファン・クァンメイさんとジュリア・レイバーグさんは同格だが,陸戦兵力を主体に圧倒的な数の敵に囲まれることを考慮し,対地攻撃能力と防御力に秀でたジュリア・レイバーグさんを出撃メンバーとする。
搭乗機体は前述の通り,複座型のX-3AT/W。この機体の索敵範囲は普通の汎用型や白兵戦型より広いが,索敵型は連れて行けないわけで,これは隠密行動にはたいへん都合が悪い。索敵範囲を広げるマルチセンサユニットについては,何度か試行錯誤を重ねたすえ,どれか1機に集中するのではなく,在庫の限界に従いつつ3機に一個ずつ持たせることにする。なんだかんだで,どの機がどこから襲われるか分からないのがこのミッションなのだから。

いろいろ試してみたが,割とシンプルなキャノン砲+ミサイルがベストの肩武装に思える。出撃人員はわずか4人だが,マルチセンサが全員に行き渡らないのが,ちょっと厳しいところ
同じ理屈で,全機とも臨機射撃のためのサブマシンガンは必ず持たせる。威力から言えば,同じD1兵器であるガトリング砲のほうがよいのだが,困難な逃避行が待つ今回,AP負荷はなるべく軽減したい。また,一見それとは矛盾するようだが,肩装備は結局,キャノン砲+DRu15対戦車ミサイルという組み合わせがベストのようだ。スモークディスチャージャーの利用も試してみたが,なにせ敵が多いうえ,「パワードール1」の敵は決死の覚悟で突入してきて,どうにかこうにかこちらを索敵範囲に捉えることが多い。移動と反撃の妨げともなるスモークは,今回むしろ不要と判断した。索敵重視+重火力の方針で,ミッションスタートである。

カーゴバード初登場ということもあって,降下展開シーンがなかなか豪華なムービーで再現されるのも,このミッションのお楽しみ要素

射出直前,サブマリンクルーとの会話。アメリカ軍のような軽口の応酬が,なかなか粋である

捕虜収容所のある窪地の近くに降下した二人で,すべての敵車両を片付ける
カーゴバードの標定精度はたいへん良好らしく,隊員のうち二人は,捕虜収容所のある窪地のすぐ近くからスタートできる。その一方を窪地の縁まで進ませて,索敵を実行しよう。高低差のある地形では,いきなり飛び込んで索敵するのでなく,縁から見渡すのが定石だ。すると,穴倉にはいきなり敵が7両もいる。隊員二人でこれをつるべ撃ちにして,そのターンのうちに全滅させる。例によってキャノン砲をメインに,敵のHPがひとケタになったら弾薬節約のため,できる限りサブマシンガンで片付けよう。基本的にこれで殲滅可能なはずだが,万一APが足りなければ,3機めにミサイルで支援させる。
敵が片付いたら穴倉に突入して,収容所の建物,その開口部にローダーを隣接させる。すると,隊員の行動メニューに「人質探索」という項目が加わるはずだ。1回の実行に15AP必要なので,1ターンあたり1回ずつしか試みられないのがつらいところだが,これを最寄りの3人で行う。なおその際,一度探索したら残りのAPで次のヘックスへの移動だけでも済ませておくと,次ターンのAP消費が節約できて好都合である。そして第1ターン終了後には潜水艦に回収時刻を連絡する手はずになっているが,ここでは最長の「65分後」を選んでおくのが無難だろう。

第1ターン終了後に出てくる選択肢。65分より短い選択肢は,やり込み要素として面白いと思うが,敵が積極的な「パワードール1」では,厳しさのポイントがやや違うかも?
穴倉から最も遠く,脱出路に近い一人を,脱出路の露払い役として別に行動させる

さて。出撃隊員が4人いるのに,なぜ探索は3人がかりと書いたか? そこがミソで,穴倉からいちばん遠い一人はあえて合流させず,脱出路となる街道の警戒&索敵に当たらせる。単機で,索敵範囲がいつもより狭いため慎重を期しつつも,露払いを務めてもらうのだ。
そうこうするうちに探索班が捕虜を探し当ててくれるはず。収容し次第,街道に向けてダッシュである。先行する機体に追いつくまで,索敵実施も隠蔽も考慮しないほうがよい。いまは離脱が遅れることのほうが危険だからであり,そのために先に街道上を“掃除”しておいてもらったのだ。

建物の開口部に隣接すると,「人質探索」という特殊コマンドがメニューに現れる。成功判定は試行回数で行われている気もするので,誰の機体に要人を乗せるかは,たぶんコントロール可能
露払い役のほうは街道上で敵を見つけたら,可能な限り撃破し,戦闘後は敵がいたのと反対側の森に逃げ込むのが定石になるだろう。逃げ込んだ先にも敵がいる可能性は否定できないので一種のバクチだが,少なくとも見つけた敵の背後にさらなる敵がいる危険のほうが大きいのだから,十分な索敵範囲が確保できない以上,これはやむを得ない。こうして途中からは,街道上でなく街道の左手,敵軍事施設のある側の森を進むことになるはずだ。
要人収容後は,とりあえず索敵も隠蔽も気にすることなく,一目散に退路へ向かう。そのための露払い役起用だったのである

一方そのころ当の露払い役は,川の対岸も含め行く手の障害となりそうな敵を,あらかじめ掃討中。単機なので無理は禁物だが

残りAPの限り高速移動して,すでに掃討済みの街道上を大急ぎで進む捜索班

捜索班は,なるべく露払い役が通ったとおりの経路をたどりつつ,露払い役に追いつくべく全速前進を続ける。合流を果たしたあとは,その時点で最も損害が少ないマルチセンサ搭載機を先頭に立てて,5〜6ヘックス刻みの大胆なスプリント&サーチ(高速移動&索敵)を続ける。ただしこのシナリオでは,捕虜になっている参謀中佐を発見した機が彼を収容していて,その機が撃破されると即座に敗北である。よって,捕虜収容機の安全は優先すべきで,列機を挟んで敵から最も遠い位置につかせるのがセオリーであろう。

行く手を阻む敵を倒しつつ,後続の合流を待つ。肩装備を充実させたのは,こうした単独行動を可能にするためでもある
敵軍事施設が目の前に迫ってくると,敵の車両やパワーローダーも出てくるはず。最寄の敵,こちらを視界に収めそうな敵は撃破して,なおも敵が残るようであれば森のさらに奥へ行くなり,一時的に進路後方へ退避するなりして,敵をやり過ごす。そして頃合を見て一斉に,街道を横切って反対側の森へ。軍事施設にはけっこうな数の敵がいそうなので,手前で迂回し,マップ下側を回って会同地点を目指したほうがよい。もちろん街道上ではなく,敵軍事施設から遠い側の森の中を進む。

街道沿いの敵軍事施設周辺は,さすがに警戒が厳重な様子。敵を片付けて,一斉に街道の反対側へ


敵拠点の側傍通過を試みる局面では,執拗な追撃を受ける。この過程で隊長機が撃破される有様だった

臨機射撃は,敵の追撃を振り切る手段としても有効。潜水艦との会同地点は目の前だが,堂々と街道上を進むようなマネは禁物だ
順調に前進できていれば,街道地点手前の十字路あたりで,浮上した潜水艦から連絡が入るはず。会同地点である三角州が見えてくる頃になっても,パトロール中と思しき敵に出くわす危険は実際にあるので,決して油断せず,ローダーが街道上に留まってターンを終えるようなことは断じて避けたい。

潜水艦からは会同に関する問い合わせが

この期に及んでも,敵のパトロール兵力に出くわすことがある。最後まで気を抜かず,隠密行動を貫きたい
河口の三角州の末端まで,無事到達できれば任務成功である。実はこの回のプレイでも,先頭を走っていた隊長機が軍事施設の手前で敵に捕捉され,グレネードの集中砲火で撃破されている。残りの機体も複座型ということで,隊長はその場で救出されたと解釈したいところだが(笑)。とにかく索敵範囲の限界で情勢を十分に掴みきれないため,最良と思われる手を打っても限界があるのがこのミッションだ。この記事を参考に,粘り強く挑戦してみてほしい。

C隊長が撃破されてしまったので,決めゼリフはヤオ姉さんのものに。「プロセスの如何を問わず」とか,物言いたげなエンディングメッセージは「いわゆる“死んで憶える”過程を踏んだでしょ?」という含みであろうか(笑)
「遠すぎたダム大作戦」と同じで,スニークアクション風味というにはいささか敵のアクティヴィティが高く,こっそり抜けていくというより,障害を迅速に排除していくものに仕上がった本ミッション。おなじみの「弾が切れた武器は除装して身軽になる」テクニックは依然として有用だが,それで大いに展開が有利になるかといえば,そんなことはない。きっちり考えて,粘り強く進めたいところだ。
 
次回はオーバーキル作戦に挑戦する。
◆鈴木俊之(Guevarista)
PCゲームとのつきあいは,かれこれ20年以上になるフリーランスライター。PC雑誌およびインターネットメディアでのペンネームはGuevarista(ゲバリスタ。ゲバラ主義者)でおなじみ。それはよいとして,最近日本でも劇場公開されたチェ・ゲバラ二部作のおかげで,ちょっとミーハーに見えるようになってしまったのが,ひそかな悩みらしい。なお正直に述べておくと,初代「パワードール」との出会いは「for Win 3.1/95」から。元来バリバリのヒストリカルゲーマーだという。