「え? あ……きゃあ!」 部屋に着くなり、シャオリーの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけた。その身体は羽毛のように軽く、片手一本で壁に押さえつけられている。 「さっきは、勝手な真似をしたな」 うめき声だけがシャオリーの口からこぼれる。 「アロイスかアキラの所で拾ってもらおうとでも?」 シャオリーは、なんとか首を横に振る。次第に頬に赤みがさしてきたので、わずかに息が出来る程度にその力を緩めた。 「外ではおとなしく言うことを聞いているはずじゃなかったか?」 咳き込むような声が、治まるのを待つ。 「ちが……いま……す」 ようやく息をつけるようになった割には、挑戦的な視線と言葉だった。 「それはそれは。気を利かせてくれて、ありがとう」
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