16

「え? あ……きゃあ!」

 部屋に着くなり、シャオリーの胸ぐらを掴んで壁に叩きつけた。その身体は羽毛のように軽く、片手一本で壁に押さえつけられている。

「さっきは、勝手な真似をしたな」
「う……くぅ……」

 うめき声だけがシャオリーの口からこぼれる。

「アロイスかアキラの所で拾ってもらおうとでも?」

 シャオリーは、なんとか首を横に振る。次第に頬に赤みがさしてきたので、わずかに息が出来る程度にその力を緩めた。

「外ではおとなしく言うことを聞いているはずじゃなかったか?」
「……げほ……かは」

 咳き込むような声が、治まるのを待つ。

「ちが……いま……す」
「何が違う?」
「わ……私は……ウォルシュ様が……手をお上げになるのが……ご面倒なのかと……」

 ようやく息をつけるようになった割には、挑戦的な視線と言葉だった。

「それはそれは。気を利かせてくれて、ありがとう」
「……どう、いたしまして」
「で、本当のところは?」

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