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 ジーンはそれだけ言い残し、再びスクリーンの前へと戻り、ゆっくり選ぶと良い、と言って椅子に座った。

「おい、お前達はどうする?」

 ウォルシュが、男二人に話しかける。しかし、アロイスは素っ気ない返事を返した。

「僕には必要ありませんね。アイもいますから」

 ジーンやウォルシュの言葉から状況を把握したアイが、アロイスの手を強く握った。

「俺も別にいい。自分のことは自分で出来る」

 アキラは全く興味がないようで、女達が表れてすぐ、早々に考え事に耽っていたようだった。突然話しかけられ、気だるそうにそう答えた。

「……まあいいさ。俺は好きにやらせてもらう」

 アピールをする娼婦を無視し、ウォルシュは一人の少女を指さした。ジーンが、興味がないだろうといった、あの少女だ。

「俺はこいつにする」

 少女は、今はあきらめたように、何も言わず、ただ視線をウォルシュへと向けただけだった。

「わかったわ。他の二人は、必要ないということでいいのね?」

 意外にもジーンは、ウォルシュの決定に対してなんの意見も出さず、確認するようにアキラとアロイスに向き直った。
 しかしアキラはジーンの言葉に頷いたりせず、突然別のことを言い始めた。

「サイファじゃ駄目か?」

 ほんの一瞬、ジーンはサイファの顔を確認するかのように振り返った。そこにあるのは、心をもたない少女の、どんな感情も映さない無表情な顔があるだけだと、彼女自身が一番良く知っていたにも関わらず。

「……変わった趣味ね」
「別に、そういうわけじゃない。それならあの中の娼婦から選ぶさ」

 ウォルシュとジーンの会話の意味を、アキラは完全に理解していたようだった。

「サイファにあなたの身の回りの世話が、できると思ってるの?」
「別に。なんなら逆に俺がやってもいい」

 呆れたジーンに、なぜか、アキラはにこやかにそう答えた。

「こいつ、ただ記憶がないんだろ? 心が無いわけじゃない……たぶん」
「……そういう考え方もできるかもしれないけど……」
「ならさ、最後の一週間くらい、なんか良い思い出でも作らせてやりたいって、思ったからさ」

 ジーンはしばらく、訝しげな目でアキラを見つめていたが、やがてアキラが本気でそう言っているのだとわかると、あきらめたように呟いた。

「なにがそんなにあなたのお気に召したのかしら?」
「俺に似てるとこ」

 アキラは事も無げにそう言い放ち、サイファの方を向いてその名を呼んだ。

「おい、サイファ」

 サイファは、名前を呼ばれ、初めてアキラの顔を見つめる。