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 そしてシャオリーは、自ら服を脱ごうとする。

「おい……」

「なんでしょう?」

「やめろ」

 上半身が露わになったところで、それを止めさせる。
 シャオリーの声には、明らかに安堵が含まれていた。そんな声を出させるために、わざわざこんなことをしているわけじゃない。
 最初の呆然とした態度は、ただの演技か……

「お前、商売女か?」
「……なぜそんなことを聞くんですか?」
「黙って答えろ」
「そうだとしたら、何だって言うんですか?」
「……服を着ろ。もうお前に用はない」

 泣き叫ぶ面が見たかった。ただそれだけだった。
 そして、全てが終わった後に向けられる憎悪の視線をこそ、望んでいた。
 しかし、それが手に入らないと知った今では、それほどの興味はない。シャオリーが隠そうとする過去には依然興味はあったが。

「用はないとは、どういう意味でしょうか?」
「そのままの意味だ。さっさと服を着ろ」

 シャオリーは一瞬とまどいを見せたが、すぐに服を着直し、それからベッドに腰掛けた。

「……私の仕事はどうなるんでしょうか?」
「金の心配か? 安心しろ。ここには置いてやる」
「さきほどの約束は?」
「ん? ああ……」

 反故にしてしまっても良かったが、さっきまでの嗜虐的な興奮はすでに治まっていた。代わりに、どうすればシャオリーが俺に憎悪を抱くようになるかと、それだけを考える。それには、隠そうとしている秘密を暴くのが一番楽だろうか。しかし、約束をしないのなら、側にはいないと言う。

「約束は……守ってやるよ」
「そう……ですか。あ……ありがとうございます」

 繰り返し聞かされた言葉だが、今回だけは、心からそう言っているように思えた。