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 ――異能者――
 西暦が二千百年、つまり二十二世紀へと世紀が移り変わる、数年ほど前。突如としてこの世界に、人の力を超えた様々な能力をもつ者が現れ始めた。最初の数ヶ月は、テレビジョンに登場するなどして世間を賑わせたが、その能力がトリックなどでは証明できないのではないかと人々が疑問を持ち始めるのと同時に、彼らはふっつりとその姿を消した。人々は、やはりあれは作り物だったのだ、一時の流行だったのだと思うようになったが、真実は違っていた。
 異能者達は、それぞれが所属する国によって丁重に扱われていた。もしくは、厳重に。人の心が読める異能者、離れた場所へ一瞬にして移動できる異能者。そんな力は、個人にとっては大き過ぎる。だから国は、それを上手くコントロールする必要があった。そして異能者が世間から姿を消してすぐは、それは上手くいっているはずだった。
 しかし、次第に異能者の数が増え、その家族や友人など、関係する人物が増えてくると、次第にそれも難しくなっていった。今では世界に数千人と言われているが、現在でも各国がその数を明確にはしていないために、正確な数字は出ていない。もちろん、能力に目覚めた人間が全てその正体を明らかにしていないケースもある。犯罪者などケースをあげると、いとまがないだろう。

 そしてついに、国が、世界がその存在を認め、明らかにされたのが一年前のことだった。統計として子どもの異能者は数が多く、義務教育の必要な年齢の子供を、国はまず親元の管理に委ねることにしたのだ。しかし思慮分別のつく成人以上の者は、自らの意志によって、あるいは異例の待遇を受け、国に尽くすようになった。それを受け入れなかった場合、日常生活レベルでの著しい制限を余儀なくされる、といった噂もあるが、定かではない。

 そうして、異能者は世界に解き放たれた。その能力は多岐に渡るが、レス、アンチなどの名前で知られる系統の異能者は、中でも少し特殊だった。なにかを消す、壊すといった破壊的な能力はもとより、例外なく付随する二次的な能力が特徴的だった。受けた力を、同じだけの力で跳ね返すという能力。殴られれば、その力は相手へとそのまま跳ね返り、異能者自身はその物理的な力を受けることはない。他人がその身体に触れることはできるが、ある一定以上の力――ある説では、異能者が危険だと判断するか否かが分かれ目だと言われている――であれば、例外なく跳ね返す。

 ゆえに、一般的にレス系の異能者は、忌み嫌われていた。