|
あれからどのくらいの時間、サイファのことをあやし続けただろう。今は泣き疲れて眠っているが、なにかの拍子に目が覚めたら、またすぐに泣き出すに違いない。
手がかかる……と思いながらも、ぬいぐるみとちぎれた耳を手にして、人気のない廊下を歩いていた。
一応内線でアロイスに場所は聞いていたが、どうも似たような部屋が続いているせいか、たどり着けない。
もう一度自分の部屋に戻ろうかと思っていると、後ろからアロイスの呼ぶ声がした。
「どこに行くつもりですか?」
「お前の部屋のつもり」
「……行き過ぎですよ」
さっき曲がった角まで戻り、アロイスと共に彼の部屋へと入った。
|